
「うぅ…修了検定に落ちた……」

ああ~どなたか卒検に合格するコツを教えてくれ~!
このように、教習所で実施している運転技能実技試験(教習所では検定という)に直面する多くの教習生の方が不安を感じています。
実は学科教習も大丈夫、技能教習も問題ない、だけど技能検定で落ちてしまうっていう人は意外に多いんです。
そこでこの記事では、元技能検定員の私が、検定に合格するコツや検定員がどんなポイントを見たり考えているのかを解説していきたいと思います。
教習所における修了検定・卒業検定当日のスケジュール
教習所の技能検定(実技試験)には二つあります。
・第1段階の修了後に行われる修了検定
修了検定と仮免許学科試験に合格することで仮運転免許が発行され、第2段階の路上運転練習が可能になります。
・第2段階の修了後に行われる卒業検定
卒業検定に合格すると教習所の卒業証明書が発行され、都道府県の運転試験場(運転免許センター)での運転技能試験が免除されます。
どちらも運転免許を取る過程で欠かせない試験となっているわけですね。
では、教習所における技能検定の実施日には、どのような手順で一日が進行するのでしょうか?
修了検定・卒業検定の当日の流れ
例として私が勤務していた教習所での技能試験当日のスケジュールをご紹介します。
修了検定のスケジュール
9:00~9:30 修了検定事前説明会
9:40~11:40 修了検定開始
12:00~ 結果発表
13:00~ 仮免許学科試験(合格者)、補修教習(不合格者)
13:50~ 修了検定再受験申請(不合格者)
卒業検定のスケジュール
9:00~9:30 卒業検定事前説明会
9:40~11:40 卒業検定開始
12:00~ 結果発表
13:00~ 卒業式(合格者)、補修教習(不合格者)
13:50~ 卒業検定再受験申請(不合格者)
事前説明で注意点やコースの説明があるので疑問などを解消しておくのがいいよ
この章のポイント
検定当日の動きを把握して、受験前に不明点を解消しておこう!
落ちやすい人にはどんな特徴がある?
では修了検定や卒業検定に落ちてしまう人に共通する特徴などはあるのでしょうか?
検定員目線で「こんな人は要注意!」っていうポイントを解説していきます。
「教習ではうまくできるのに修了検定や卒業検定で不合格になる」ことってあるの?
検定とか試験が苦手な人って結構いるんじゃない?
うん。
結構いるよ。
やっぱり検定になると緊張したりしやすいからね。
実際、検定員としても“本番だけ調子が出ない”タイプはよく見かけました。
教習は順調に進んでいても「検定になると実力を出しきれずに不合格になる」例は意外と多いんです。
特に次のようなことが原因となることがあげられます。
修了検定&卒業検定で実力を出しきれない人のパターン3つ
合格できる力はあるのに、“検定本番になると急に普段通りの運転ができなくなる”。
元検定員として、こうしたケースは何度も見てきました。
ここでは特に多い「実力が発揮されない3つのパターン」を紹介します。
① 慎重になりすぎるタイプ
採点開始の合図と同時に、急に“慎重になりすぎる”タイプ。

このタイプの特徴は、
- エンジン始動から発進まで、必要以上に時間がかかる
- アクセルが踏めず、直線でも加速しきれない
検定では落ち着きが大事ですが、“慎重すぎる”のは逆効果。
極端な例ですが、同じ検定コースを走行する時間が倍以上かかるケースもあります。
実際にこのタイプは合格に届かないケースが多く、検定員としても緊張感が高まります。
特に 始動準備や基本の加減速 はテクニックではなく“普段の習慣”。
教習の段階から無意識にできるレベル=準備動作はルーティン化しておけると、本番でブレにくくなります。
検定当日に「意識的に慎重になる」必要がない状態にしておきましょう。
② 緊張しすぎて注意力がなくなるタイプ
検定なので緊張するのはだれでも当然ですが、なかには“緊張が暴走してしまうタイプ”もいます。

このタイプの特性は、
- 手汗をぬぐい続ける
- いつまでもドキドキが止まらない
- 周りが見えてない
頭が真っ白になりやすく、普段できていることが抜けてしまい、本来の実力を出せなくなってしまいます。
「落ちても話のネタが一つ増える」くらいの気持ちの方が、結果がついてきやすくなります。
③ 指示を聞き逃すタイプ
意外と多いのが、検定員の話をしっかり聞かずに損をしてしまうケース。
例として多かったのは、
- 指示された待機場所にいない
という状況。

え?これって迷子ってこと?
うん…迷子の館内アナウンスが流れることは結構あるよ。(笑)
特に卒業検定では、集合場所や待機場所が支持されます。
間違えると検定の流れが乱れたり、余計な緊張を生んだりしてしまいます。
迷子の館内アナウンスをされないように検定員の話をよく聞いて落ち着いて行動しよう!
修了検定や卒業検定では「次の段階へ進んでも大丈夫か」を判断している
修了検定や卒業検定というと、「うまく走らなきゃ…」「減点されたら…」と深く構えてしまいがち。
でも、実は検定ってそんなに難しいことは求められていません。
検定員が求めていることは「基本が身についているか?」という点です。
ではその「基本」とはどういうことなのでしょうか?
検定でみられる運転の基本とは?
①車の特性を理解して、必要な操作ができているか
加速すべきところでは加速し、減速が必要な場面ではしっかり減速し、カーブや交差点では道路の形状に合わせて曲がれるか。
つまり「車を適切に扱えているか」を見ています。
②交通ルールを理解した走り方ができているか
信号や標識を見落としがないか、交差点の優先関係を理解しているかなど、基本的な交通ルールを守って走れているか。
この2つができれば“路上に出ても大丈夫な人”と判断されるよ。
修了検定は、運転の上手さを測る試験ではなく「この人は路上で本物の交通の流れの中でも練習できるか」を確認する場です。
だから、この2つが備わっていれば十分。
「スムーズさ」
「上手さ」
「流れるような運転技術」
っていうのは求められてないんだね。
こういった基本が身についていれば、自然に次の段階へと進んで行けるはずです。
この章のポイント
・緊張は最大の敵!リラックスできるような工夫を
・検定は重く考えすぎず、練習と同じ気持ちで
元検定員が語る!修了検定・卒業検定で“必ず見られる2つのポイント”

次は元検定員の視点で、ここは必ず見てるよ!っていうポイントを解説していきます。
ポイントを押さえておくことで検定員が重要視しているところを知っておきましょう。
①「安全確認」は最重要!
修了検定・卒業検定の両方で、もっとも頻繁に減点されるのが 「安全不確認」 です。
安全確認には細かい項目がたくさんありますが、検定員が見ているのは、実は非常にシンプルで、
検定員が見ている確認のポイント
- 首の動き(どこをどれくらい見ているか)
- 視線の動き(アイミラー越しにもよく見られています!)
この “2つの動き” だけ。
検定員は“確認したかどうか”を受検者の身体の動きで判断しています。
そのため、実際に見ていても、動きが非常に小さいと『していない』とみなされることがあります。
つまり、自分では安全確認をしたつもりでも、検定員が「確認していない」と判断したら減点されてしまうこともあり得るのです。
だからこそ、確認するときは少し大げさなくらいに動かして、「今、しっかり見てますよ!」とアピールするのがおすすめです。
普段の教習から少し大げに確認することに慣れておくのが良さそうね。
②交通ルールの理解力と対応力
修了検定や卒業検定には、コース内で 右折・左折・一時停止・徐行などの“基本動作” を必ず入れる というルールがあります。
つまり、コース内には基本的な交通ルールを理解して運転できているかを確認するためのセクションが数か所配置されていることになります。
卒業検定では待機時間などに 、Googleマップやストリートビューで路上コースの予習が可能です。
次のような点をあらかじめ確認しておきましょう。
- この交差点に一時停止ある?
- 優先道路ってどっち?
- 右折は矢印信号?
- 歩道の幅はどうなってる?
こうした事前の確認だけで、当日のミスはかなり減ります。
交通法規違反 は一発で不合格に繋がりやすいので、可能な範囲で標識や優先関係を把握しておこう!
この章のポイント
検定員が必ず見ている2つのポイント
【1. 安全確認の動き】
・首や視線の動きで「確認したか」を判断される。
・少し大げさに動かして“見てますアピール”が効果的。
【2. 交通ルールの理解と対応】
・事前に交差点や信号の特徴を予習しておくと安心。
・コース内の標識や優先関係を理解しているかを見られる。
【超重要!】検定員目線でみる修了検定・卒業検定でよく落ちる原因3選

実際に検定で不合格になりやすいポイントってどんなとこなんだろう?
不合格になりやすい原因のワースト3としては、
・巻き込み・目視忘れ
・停止線オーバー
・縦列駐車の失敗
が目立ちます。
それぞれ不合格になりやすい原因と対策を見ていきましょう。
【巻き込み・目視忘れ】は定番の減点ポイント!
上記でもお伝えしましたが、安全確認は検定で最も減点されやすい項目です。
特に多いのが、
- 左折時の巻き込み確認の抜け(左ミラー → 左後方の目視)
- 後退(バック)前の後方確認の不足
どちらも 「確認→行動」が基本ですが、緊張していると「曲がること」や「ハンドル操作」に意識が行ってしまい、目視が抜けてしまう受検者がとても多いです。
最悪の場合、横断歩行者や自転車の接近に気が付かずに補助ブレーキを踏まれてしまうということが考えられます。
運転では、“安全確認 → 行動” の順番を徹底すること が大切です。
普段の練習から意識すれば、検定でも同じ動きができるようになります。
【停止線オーバー・一時停止】の勘違い
一時不停止は、検定で即中止になりやすい代表的なポイントです。
よくある原因は、停止線の手前で完全に止まらず、徐行のまま通過してしまうこと。
運転者本人は徐行でスピードがかなり落ちているので、「止まったつもり」になりやすいのですが、検定員から見ると “止まっていない=一時不停止” と判断されます。
実際、合否の説明で「あそこ、止まったつもりでした?」と聞くと、ほとんどの受検者が「はい」と答えるくらい、この“気づかない一時不停止”は多いんです。
特に修了検定での一時不停止が多く、年間で100人を超える(多いときは全体の受検者の5%前後くらい)ほど頻発するレベルで、最も多いミスの一つとなっています。
これは回避可能なもったいないミスね。
一時停止では、停止線の直前で“タイヤが完全に止まる”ことが絶対条件。
わずかでも動いていれば徐行とみなされます。
確実に止まるためには、車輪を完全に止めた状態を2秒ほどキープする のがおすすめです。
「1,2…」と数えるだけでも、体感の“止まったつもり”と“実際に停止”のズレを防げます。
【方向変換・縦列駐車】での“不合格パターン”
卒業検定における縦列駐車や方向変換の課題でも不合格になりやすい原因があります。
結論から言うと次のようなことを注意してみましょう。
縦列駐車・方向変換課題のポイント
・ポール接触への配慮
・切り返し回数制限への注意
・真上からイメージするような把握の方法
最も多いのはポールへの接触。
車体の大きさや障害物との接近具合を常に念頭に入れて動かす必要があります。
その際はなんとなく感じるのではなくしっかりと眼で距離をとらえれるようになりましょう。
そのためには、車体の周囲を目線を映しながら確認するのが効果的です。
そして、同じくらい多いのが切り返し回数の制限オーバーです。
バックの課題での切り返し可能な回数制限は3回までなので、切り返し前に自分の車がどういう状態になっているのかを把握するのがポイントとなります。
具体的には、練習段階から車体の向きを“真上からイメージ”する癖を付けると、回数制限オーバーを防ぎやすくなります。
イメージした上で、車体のどこが障害物や縁石部分に対して接近(または脱輪)しているかをよく考えて対応しましょう。
この章のポイント
【巻き込み・目視忘れ】
・左折時やバック時の目視確認を忘れがち。
・「確認→行動」を徹底し、練習から習慣化する。
【停止線オーバー・一時停止】
・停止線で完全に止まらず徐行してしまう。
・タイヤを完全停止し、2秒キープを意識する。
【方向変換・縦列駐車】
・車体の動きを真上からイメージして把握する。
・ポール接触や切り返し回数オーバーが多い。
元検定員がすすめる修了検定・卒業検定の合格対策のコツ

それでは具体的な合格率を上げるためのちょっとした工夫ポイントを紹介します。
基本の動作や確認は考えなくてもできるように反復練習しておく
検定員は受検者が運転席に座ってから実際に車を発進させるまでを注意深く見ているのですが、ここまでおおよそで平均的には2分くらい(あくまで私の感覚ですが)かかります。
具体的な作業としては、以下のような動作になります。
乗車~発進までの流れ
①座席調節し、シートベルトをする
②ミラーを合わせる
③エンジンを始動する
④チェンジレバーを「P」→「D」へ
⑤安全確認し、合図を出す
⑥発進する
この発進までの基本動作をテキパキとできている受検者は検定員としても期待が持てます。
なぜなら「一つ一つの動作が考えなくても身についているので通常の走行にも余裕が生まれるだろう」と予測できるからです。
「考えないとできない」のと「考えなくてもできる」は雲泥の差があります。
手順などは車に乗っていなくてもイメージできますし、自宅に車があれば模擬練習できるのでやっておきましょう。
検定コースにおける“キーポイント”を確認する
検定当日の事前説明会にて走行コースが提示されコース図が渡されると思います。
コース図から教習で強調された”キーポイント”を思い出しておきましょう。
例としては、
キーポイントの確認例
・発着点~発進までにやるべきこと
・指示速度区間での加速と減速のタイミング
・進路変更~交差点右左折への流れ
・S字コース・クランクコースでの最適な走行位置
・一時停止標識のある場所
・坂道発進の手順
・発着点への戻り方と降車手順
上記のあたりを確認できるといいのではないでしょうか。
特にここは絶対押さえておくべき!というポイントを振り返っておきましょう。
もしも修了検定や卒業検定で不合格になったら?“正しい振り返り”とは?

う…また自分だけ…落ちた…
不合格でも落ち込む必要はありません。
このように、仮に受検者の中で自分だけ不合格になったとしても落ち込まないようにしましょう。
不合格になる原因は、自分が意識できていなかったところが結果としてあらわれている証拠。
つまり自分の運転の欠点でもあります。
例えば、欠点が改善されないまま路上運転などの次のレベルに行くことになったらどうでしょうか?
その方が怖くないですか?
つまり不合格は、自分が意識できていなかったポイントを再確認できるチャンス。
可能であれば何が原因だったのかを担当検定員に確認しましょう。
きっと検定員もポイントを教えてくれるはずです。
もし確認することができなくても、大丈夫です。
再受験のためには補習教習を1時間受けなければいけないので、その時の担当指導員に聞いて克服できるように練習してみましょう。
コツとしては、「不合格の直接の原因となった理由の洗い出し」&「反復練習」です。
例えば、
不合格の原因の洗い出しの例
・【左折で脱輪した原因は?内輪差?ハンドルの切るタイミング?】
→ハンドルのタイミングを再確認、自分で思っているタイミングと指導員から見たベストのタイミングに誤差はないか確認する。その時の内輪差は意識できていたか?
・【優先車両を見落としてしまった原因は?】
→安全確認はどこまで見れていたか?建物で死角になっている部分にも予測をしていたか?
・【切り返し時のハンドルの回転方向はあっていたか?】
→「この場合はこうする」をもう一度再確認する、別パターンも確認する
・【一時不停止となってしまった原因は?】
→標識の見落としはなかったか?きちんと車輪を完全停止させられていたか?
こんな感じで無意識だった部分の原因をつぶせるように練習するのが理想的!
この章のポイント
・基本操作を“考えずにできるレベル”まで自動化する
・コースのキーポイント(減速・停止・確認ポイント)を事前に整理しておく
・不合格になった場合は、原因を正確に振り返り、同じミスを繰り返さない仕組みを作る
・焦らず、ひとつずつ確実に積み上げる姿勢を大事にする
まとめ|次回は「実技編」で合格のコツをさらに深掘り!
ここまで検定に合格するコツや検定員がどんなポイントを見たり考えているのかを解説してきましたが、いかがでしたか?
今回のポイントをまとめると、
まとめ
・緊張は最大の敵!教習段階から緊張をほぐせるような工夫を!
・担当検定員の話をよく聞いておこう
・コース図などで走行のポイントを思い出しておこう
・走行中はメリハリとしっかり確認を!
・不合格は自分の欠点を克服するチャンス!
ポイントをしっかりと踏まえた上で、事前に対策を立てて臨んでいきましょう!
今回は修了検定・卒業検定の合格ポイントの【知識編】を解説してきました。
次の記事では、方向変換・縦列駐車・クランク・S字など、実技でよく出る場面の攻略法を詳しく紹介します。
検定前に読んでおくだけでミスが激減する内容なので、ぜひチェックしてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
かつて教習所が嫌いだった私が、ペーパードライバーの味方になっている理由


